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全額自己負担したとき:制度説明


療養費

健康保険では、病気やけがのときには保険医療機関に保険証を提示して、医療を受けるのが原則です。しかし、事情によっては保険診療が受けられないこともあります。

たとえば旅先で急病になり、保険証を持っていなかったときなどです。このような場合は、かかった費用を一時立替えておき、後で健康保険組合に申請すれば払い戻しが受けられます。この払い戻される分を療養費といいます。

療養費が支給されるケースは、具体的に次のようなものがあります。
  • ・旅先の急病で保険証を持参せずに診療を受けた場合
  • ・近くに保険医療機関がないか、あっても利用できない事情があった場合
  • ・健康保険の資格取得手続き中の病気やけがの場合
  • ・やむを得ずに保険医療機関以外で診療を受けた場合
    (担ぎ込まれたところが保険医療機関でなかったなど)
  • ・コルセットなどの治療用装具を医師の指示により作成、装着した場合
  • ・医師の同意のもと、はり・きゅう・あんまマッサージの施術をした場合

柔道整復師にかかるとき

柔道整復師にかかるときは、保険医療機関で受診するときと同様に窓口で保険証を提示し、一部負担金を支払って施術を受ける場合と、全額をいったん支払って、後から健康保険組合に申請して認められれば保険給付を受けられる場合の2通りがあります。

ただし、健康保険が使えるものは限られています。かかった後で健康保険の適用が認められなければ、全額負担となりますので、注意してください。

健康保険が使える場合 医師の施術同意書は不要 ねん挫、打撲、挫傷、骨折・脱臼の応急手当て
医師の施術同意書が必要 骨折、脱臼
健康保険が使えない場合 (上記以外のもの)
年齢や日常生活からくる肩のこりや筋肉疲労、スポーツによる筋肉疲労、保険医療機関で治療中のものなど
★ワンポイント★
施術を受けるときの注意

柔道整復師が患者に代わって保険請求を行うため、施術を受けたときには必要書類に患者のサインが必要となります。 領収証は必ず受け取りましょう。医療費控除を受ける際や、健康保険組合から照会があったときの控えになりますので、大切に保管してください。

はり・きゅう・あんまマッサージを受けるとき

2019年4月施術分より、はり・きゅう・あんまマッサージを受けたときは、窓口で全額を支払い、後から健康保険組合に療養費の申請をする「償還払い」に変更となります。

なお、健康保険が使えるものは限られており、施術にあたっては医師の「施術同意書」が必要となります。かかった後で健康保険の適用が認められなければ、全額負担となりますので、注意してください。

給付の流れ(償還払い)

給付の流れ(償還払い)
  はり・きゅう あんまマッサージ
健康保険が使える場合 慢性的な痛みのある傷病で、医師による適当な治療手段がない場合
神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頚椎捻挫後遺症
筋麻痺・筋萎縮や関節拘縮などで、医療上マッサージを必要とする場合
健康保険が使えない場合
  • ・医師が施術について同意していない
  • ・疲労回復や慰安が目的
  • ・はり・きゅうの対象疾患で、保険医療機関で並行して同じ療病の治療を受けている
  • ・仕事中や通勤中の負傷(労災保険の対象)
  • ・交通事故など第三者による負傷(別途届け出が必要)
健康保険が使える場合
はり・きゅう
慢性的な痛みのある傷病で、医師による適当な治療手段がない場合
神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頚椎捻挫後遺症
あんまマッサージ
筋麻痺・筋萎縮や関節拘縮などで、医療上マッサージを必要とする場合
健康保険が使えない場合
  • ・医師が施術について同意していない
  • ・疲労回復や慰安が目的
  • ・はり・きゅうの対象疾患で、保険医療機関で並行して同じ療病の治療を受けている
  • ・仕事中や通勤中の負傷(労災保険の対象)
  • ・交通事故など第三者による負傷(別途届け出が必要)
★ワンポイント★
領収書は必ず発行してもらいましょう

治療を受けたときは、施術者(はり師、きゅう師、あんまマッサージ指圧師など)に治療の内容を確認し、領収書を必ずもらって、大切に保管しておきましょう。

療養費の支給額

療養費として支払われるのは、医療費の全額ではありません。健康保険で給付が認められている治療方法とその料金に基づいて基準額を算出し、そこから一部負担金に相当する額を差し引いた金額が払い戻されることになります。

また、実際に立替えた額が算出した基準額を下回る場合には、その低いほうの額から一部負担金相当額を差し引いた金額が支払われます。

例)立替えた額が健保の算出額よりも少ない場合(小学校入学後~70歳未満)

例)立替えた額が健保の算出額よりも多い場合(小学校入学後~70歳未満)

健康保険Q&A
  • 登山中にけがをして、応急措置として保険医療機関ではないところで受診しました。全額自己負担しましたが、費用は払い戻されますか?
  • 諸般の事情から療養の給付を受けることが困難であった場合、たとえば、保険医療機関まで相当の距離があって、交通の便を欠き、けがの様子によって緊急性が認められるようなときは、療養費として立替えた費用の一部が払い戻されます。
  • 療養のために海外に行って診療を受けた場合も、療養費は支給されますか?
  • 海外療養費は、海外滞在中にやむを得ず現地で受診した場合に支給されます。出張や旅行などの渡航理由は問われませんが、はじめから療養の目的で海外へ渡った場合は、支給対象から除かれます。
    海外療養費の不正受給を未然に防止する観点から、申請時に治療の事実を確認するため、パスポートや航空券など海外に渡航した事実が確認できる書類の写し、当該海外療養を担当した者に照会することに関する同意書の提出をお願いすることになりました。
  • 仕事疲れで肩こりがひどいので、マッサージ師の施術を受けました。療養費は支給されますか?
  • 保険医療機関以外で行うマッサージ(あんま・指圧)師による施術については、保険医療機関で受診しているにもかかわらず改善しない病気やけがの治療を目的に、医師の同意を得て受けた場合で、保険者もその必要性を認めたものに限り、療養費が支給されます。ご質問のケースはこの要件に該当しないため、支給されません。
  • 保険証の交付を受ける前に病気になり、自費で診療を受けた場合、費用は払い戻されますか?
  • 被保険者の資格取得日以降の診療であれば、払い戻されます。いったん自費で立替えます。あとで三菱UFJ証券グループ健康保険組合に申請して、健康保険の適用される部分が払い戻されます。
  • 1年前の治療におけるコルセット装着が療養費の支給を受けられることを最近知りました。まだ請求権はありますか?
  • 療養費の請求権は、実際に費用を支払った日の翌日から2年で時効(消滅)となります。コルセット装着に関する費用を支払った日の翌日から2年以内であれば、請求して支給を受けられます。


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